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目覚め [Short Story]

うーん、何だろう、この感覚は。今まで寝ていたのだろうか。ようやく頭が起き出した、という感覚で、頭全体がボーっとしている。何もかも気持ち良いというか、まるで麻酔で感覚が麻痺しているかのようで、思考が先に進まない。

そのまま、少しばかり時間が経過した。徐々にだが、頭が回り始めたようだ。この感じは、熟睡した後のものに似ていて、長い間寝ていたようだ、と理解した。でも、なぜ寝ているのだろう。うーん、理由が分からない。このままでも良いのかな...。

いや、いけない...。何故だか、初めて否定の気持ちが湧き出てきた。あれ、何かあるんだっけ。

目に入ってくる刺激が明るいことに気付いた。外は明るいんだ。俺は何処にいるんだろう、何かしら不安というものを感じ始めた。

否定した気持ちが出てきたことをきっかけに、体の感覚が一気に頭の中で回り始めた。暖かい微風を肌に感じた。手の辺りには芝生を感じた。体が、傾斜したところで仰向けになっていて、高いところを頭にして大の字ポーズを取っていることが分かった。

あれ...、と、目を開けた。青い空が見えた。白い、ふわふわした雲が浮かんでいた。そっかぁ。ようやく、自分に気付いた。

自分が働いている職場はのどかな田園地帯にあり、近くには川がある。昼休みは職場の仲間と良くキャッチボールをしたりしている。今日は自分ひとりだったので、川の土手で昼寝をしたのだった。

ズボンのポケットに入っている携帯を取り出して時間を確認した。昼休みはとうに過ぎていて、夕方近くだった。しまった、と思ったが、じたばたしても既に仕事をすっぽかしているわけだし、どうしようか、と空を仰ぎ見た。

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